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プレスリリース
加熱発酵にんにく粉末原料の受精卵発育への影響を発見
薬用化粧品・機能性表示食品OEM受託製造メーカーの株式会社天真堂(所在地:東京都江東区木場、代表取締役:松﨑淳、以下天真堂)は、
早稲田大学人間総合研究センター(所在地:埼玉県所沢市、研究代表者:原太一教授、以下早稲田大学)と共同開発した
加熱発酵にんにく粉末「Phagyo(以下ファジオ)」が受精卵の発育(初期胚発生)に有意な影響を及ぼすことを発表しました。
本研究は、早稲田大学及び愛知県医療療育総合センター(吉崎嘉一博士)との共同研究により実施いたしました。
本研究成果は、7月30日「薬理と治療」(ライフサイエンス出版)に掲載されます。
■開発背景
近年、世界的に少子高齢化が加速しており、出生率の向上が喫緊の課題として叫ばれている一方で、
日本においてはライフスタイルの多様化により高齢出産が増加。それに伴い、加齢による妊娠率の低下など不妊に関する問題も大きな課題となっています。
また、最近の研究で不妊全体のうち約50%が男性に原因があることが指摘されているにも関わらず、
男性をターゲットにした不妊分野の取り組みは女性に比べ遅れをとっているのが現状です。
そのような状況の中、早稲田大学及び愛知県医療療育総合センターとの共同研究により、
ファジオの男性不妊治療のサポートにつながる新たなシーズを開発し、機能性を証明しました。
■概要
体外受精は排卵前に体内から取り出した卵子と精子の受精を体外で行う受精法です。
一般的には受精後2~5日の体外培養後に子宮内に胚移植することで着床へと進みます。
しかし、加齢や疾患などにより受精卵の健全性が低下している場合、
受精が出来たとしても細胞分裂が途中で停止する現象が起こり、着床に至らないことがあります。
その一つのケースとして、受精卵の状態が良くない場合、容易に2細胞期に細胞分裂が停止してしまう「2-cell block」が挙げられます。
今回の共同研究では、ファジオで前処理した精子は、受精すると2-cell blockに代表される細胞分裂の停止を回避し、
初期胚発生率(受精卵が細胞分裂を進め着床の準備状態である胚盤胞になる割合)を向上させることを見出しました。
ファジオ抽出液で前処理した精子由来の受精卵と、未処理精子由来の受精卵での2-cell block発生率を比較。
未処理の場合36.5%の発生に対し、前処理を施した場合7.0%と発生率は有意に減少を示した。
ファジオ抽出液で前処理した精子由来の受精卵と、未処理精子由来の受精卵での胚盤胞発生率を比較。
未処理の場合28%の発生に対し、前処理を施した場合55.9%と発生率は有意に増加を示した。
これまでの男性不妊治療は、手術が必要な場合を除くと、精子の量や運動率・奇形率等を改善し受精率を向上させることが主要な研究でした。
しかし今回ファジオに新たな機能性を見出したことにより、男性不妊に対して
“受精卵の発育(初期胚発生)促進”という観点から、新たなアプローチのご提案が可能になりました。
■今後の展開
天真堂と早稲田大学による研究チームは、これまでにファジオのオートファジー(※)促進機能を発見、
今年6月には「オートファジー調節剤」として特許も取得しております。
今後は今回の研究結果とオートファジーの関連について調査を実施すると同時に、
今回の研究成果を応用したサプリメントや日用品などのOEM受託製造及び、原料供給を積極的に進めて参ります。
※オートファジーとは:細胞内成分をリソソームで分解するシステムであり、細胞内成分のリサイクリング(代謝回転)により細胞内環境を浄化することに寄与している。
また、異常タンパク質や損傷したミトコンドリアなどの細胞内の不要物を積極的に除去する機能も有している。
オートファジーによる細胞内成分の分解活性は加齢とともに機能は低下することが知られており、老化や生命維持と深い関係があることが示唆されている。
早稲田大学人間科学学術院 原太一教授のコメント
にんにくは、食品のなかでも古来より様々な健康増進効果を有することが示されてきた。
また、高い滋養強壮効果があることも分かっている。
そこで本研究ではにんにくに着目し、男性不妊の観点から受精卵の発育を高める有用素材を開発した。
にんにくは滋養強壮効果を有するが、熟成にんにく抽出エキスには生のにんにくよりも高い効果があることが報告されている。
すなわち、熟成することによって得られる成分が、にんにくの滋養強壮作用に機能する可能性が考えられる。
にんにくの滋養強壮作用については、抗酸化作用との関連が示唆されているが、
抗酸化力測定試験では、酵母発酵にんにく(ファジオに相当)は、生にんにくの5.5倍、加熱にんにくの6倍の抗酸化力が確認されている。
また、動物細胞を用いたオートファジーへの影響を検討した試験では、様々な加工を施したにんにく加工食品の中でもファジオに強いオートファジーを亢進する活性を見出している。
オートファジー活性が高い受精卵は、初期胚発生率や着床率が高いことが明らかになっている。
今後、酵母発酵にんにくが受精卵の発生能に与える影響について、オートファジーに対する作用から検討することも重要であると考えている。
➢「早稲田大学人間総合研究センター」組織概要
・所長 扇原 淳
・住所 埼玉県所沢市三ケ島2-579-15
・設立 1987年(昭和62年)4月
・本研究センターは、あらゆる現象(物理的、生物的、心理的、社会的、文化的そして歴史的)の背後に横たわる相互関連性と相互依存性を自覚し、
そのメカニズムを説明し、そして、人間・社会・自然の共存に資する共同研究を行う研究者のコミュニティーづくりを目指しています。