医薬部外品と化粧品の違い~入門編:薬機法と景表法~
基礎知識前回まで当コラムでは、多くの行政機関が発表する多様な規制が複雑に絡み合っている
化粧品の規制を紹介してきました。
今回からは少し趣向を変えて【医薬部外品と化粧品の違い】にフォーカスしていきます。
引き続き本コラムでは出来る限り多面的な視点を持ち、
全体的なルールを解りやすく説明してまいりますので、どうぞ宜しくお願いします。
※なお、「医薬部外品と化粧品の違い」を冠するコラムにおいては、
複雑化を防ぐため指定医薬部外品及び美容に関係のない医薬部外品は考慮しません。
医薬部外品と化粧品
医薬部外品は化粧品同様に主として薬機法と景表法で規制される製品で、
定義は次の通りです。
・医薬部外品:体に中くらいの作用を及ぼす
・化粧品:体に緩和な作用を及ぼす
(バックナンバー:化粧品の規制について~入門編:薬機法と景表法について~)
【中くらい】と【緩和】…判りにくいですね。
そのため、時の偉い方々が効能効果の範囲をエイヤーで決めました。
医薬部外品の効能効果の範囲(主要効果抜粋)
1、口中清涼剤:口臭、気分不快
2、脇臭防止剤:わきが(脇臭)、皮膚汗臭、抑汗
3、てんか粉類:あせも、おしめ(おむつ)、かぶれ、ただれ、股ずれ、かみそりまけ
4、育毛剤 :育毛、薄毛、かゆみ、脱毛の予防、毛生促進、発毛促進、ふけ、病後・産後の脱毛、養毛
5、除毛剤 :除毛
6、染毛剤 :染毛、脱色、脱染
7、パーマネント・ウェーブ用剤:毛髪にウェーブをもたせ、保つ。くせ毛、ちぢれ毛、またはウェーブ毛髪をのばし、保つ。
8、浴用剤 :あせも、荒れ性、うちみ、肩のこり、くじき、神経痛、湿疹、しもやけ、痔、冷え性、腰痛、リウマチ、疲労回復、ひび、あかぎれ、産前産後の冷え性、にきび
9、薬用歯磨き:歯を白くする、口中を浄化する、口中を爽快にする、歯周炎(歯槽膿漏)の予防、歯肉炎の予防、歯石の沈着を防ぐ、むし歯を防ぐ、むし歯の発生及び進行の予防、口臭の防止、タバコのヤニ除去
10、薬用化粧品
化粧品については概要を以前のコラムで紹介させて頂いていますので割愛させて頂きます。
(バックナンバー:化粧品の規制について~入門編:薬機法と景表法について~)
効能効果の範囲から、医薬部外品は美容のみを司る化粧品とは、やや趣が異なる点について、
なんとなく感じて頂けたでしょうか。
医薬部外品はこれらの効能効果を許されています。
逆に言えばこれらの効果が無いのであれば医薬部外品にはなり得ません。
すなわち、医薬部外品とは効能効果が無ければならない。ということになります。
そのため医薬部外品は承認制です。※化粧品は届出制
承認制についての詳細は次回にご紹介させて頂く予定です。
景表法については医薬部外品と化粧品で大きな差はありません。
景表法の根幹は次の通りです。
・商品を実態以上に良く見せてはならない(嘘をついてはいけない)
医薬部外品では効能効果を取得している訳ですから、
その効能効果を過大な脚色をせずに表現してゆけば問題ありません。
取得した効能効果以外は、認可を取得していませんので表現しないようにしましょう。
ただし、ここで一つ例外があります。
薬用化粧品というジャンルは医薬部外品と化粧品のハイブリッドであり、
医薬部外品でありながら化粧品の56の効能効果を表現することができます。
この製品群がイレギュラーとして規制を判りにくくしている面もありますので、
折を見て詳細に説明をさせて頂きます。
まとめ
同じ法律で、同じように規制されている医薬部外品と化粧品ですが、
細かいところで大きく異なっていることを感じていただけましたでしょうか。
次回から、より詳細な違いについて説明していく予定です。
天真堂では、医薬部外品、化粧品のどちらでも対応できるストック処方とラボを所有しています。
素敵なアイデアを思いつかれたら、ぜひお声がけください。