★17/6/15『ケース②価格の整合性がとれない』を更新いたしました。
事業立上げから1年経過。
事業計画から実績の乖離が徐々に大きくなってきている。
その結果、広告費を縮小し、定期顧客も徐々に減少。 事業自体が縮小のスパイラルに陥り、
身動きがとれない・・・リカバリーできる手立てもない。
このような企業様の声をよくお聞きします。
前回の「事業計画相談室」では「事業計画作成で絶対にしてはいけない3つのこと」 と題して、
事業計画策定時に抑えるポイントを解説しましたが、
今回は「事業計画は作ったものの計画通り進まない」、「あの時こうしておけばよかった」と
ならないために、2つのケースを例に化粧品通販で陥りやすい“落とし穴”について解説します。
ケース①シミュレーション-KPI-実績の
PDCAが連携できていない
事業立上げで事業計画の中で売上/収益シミュレーションを立てているかと思います。
このシミュレーションがロジックとパラメーターで構成されています。
例えば、LTV=一人当たり年間回転数×平均単価
ここでは“式”をロジック、“値”をパラメーターと呼びます。
定期モデルであれば一人当たり年間回転数=(月毎の)定期母数×稼働率
となります。
(この時に定期母数=前月継続数+当月獲得数-当月解約数となるので解約を抑えることが重要となります)
このロジックとパラメーターでシミュレーションを作っていくのですが、
主要パラメーターを“KPI”として、設定することが多いです。
事業を始めてこのKPIを達成するためにPDCA(plan-do-check-action)を
一生懸命回して活動していきますが・・・
ここで大事なのは、KPIが実績値として把握できた時に、
・当初のシミュレーションにパラメーターとして当てはめてみる
・当てはめた時に現実のLTVとシミュレーション上のLTVに差があるかを確認する
ここで差が出た時はロジック自体の精度が低いということですので、
見直さない限り今後も「KPIが達成できているが売上/収益が達成できていない」
ということが続いていきます。
ちなみにコンサルタントが“許容範囲の誤差”と仰っている数値が
将来的に大きな隔たりにつながっていることが多いのでご注意ください。
ケース②価格の整合性がとれない
化粧品単品リピート通販を始めるときに、設定しないといけない価格は数種類あります。
通常価格だけでなく、セット価格、定期価格、会員価格、キャンペーン価格といわれる
購入条件に応じて割引を設定した購入を促すための価格となります。
一度決めた価格で始めると、
商品仕様変更や新しいサービス(会員・割引)導入など大きな変更がないかぎり
上げたり下げたりすることは難しいですよね?
価格設定は後戻りできなくて、
事業の成立に大きな影響を与えるので慎重に設定したい内容です。
直近で”価格に関する”事業のご相談にのった例を2つ挙げさせていただきます。
1.通常価格と定期価格の設定方法
通常価格を設定するには、
市場・競合、仕様・原価、付加価値、オファー、事業計画、収益シミュレーションを
掛け合わせて検討していくのですが、今回説明すると長くなりすぎますので
詳細は割愛させていただき、設定する際のポイントの1つをお伝えさせていただきます。
通常価格8,000円 定期価格4,000円 という設定で
”購入は定期がお得です”というオファーをよく見かけますが、
これも後戻りできない設定です。
ここでいう通常価格と定期価格というのはショップの
レギュレーションで”キャンペーン価格”ではありません。
これを勘違いして『定期価格=キャンペーン価格』という設定をしていたのです。
この場合、どのような設定が適切なのでしょうか?
A:通常価格
B:定期価格=ショップとしての一定の割引価格 例)15%引き=6,800円
C:初回定期キャンペーン価格=初回のみのお申込みしやすい価格 例)50%引き=4,000円
D:初回定期キャンペーン定期継続価格=初回定期キャンペーンを
お申込みいただいた方限定で続けていただく価格 例)25%引き=6,000円
※Dのお申込みのお客様が一度定期を解約して、再度定期をお申込みいただく場合はBの価格が適用されます
このような設定にすることで、
・商品ラインナップが増えたときでも、ショップとしての整合性を取りやすい
・集客を強めたいとき、継続を高めたい場合、キャンペーンベースでコントロールできる
ということができます。
【注意】ECシステム(カート)によっては設定できない場合があるので必ずご確認ください
2.価格のショップレギュレーションを整理する
二つめは、あとあと整合性が取れるように最初から整理しておくことです。
最初は単品のみ(商品A)もしくはセット(A+B)のみで
スタートすることが多くなると思います。
これを①も含めて整理しておかないと、
あとあと商品が増えた時に整合性がとれなくなってしまいます。
このような表に整理しておくと、
商品が追加された際もレギュレーションを確認しながら価格設定がしやすいですし、
キャンペーン毎にオファーを変更しても混乱することが少ない運用ができるようになります。