化粧品の規制~アフィリエイト広告~
基礎知識少し前に起きた、アフィリエイト広告の問題をご存知でしょうか?
販売会社従業員だけでなく、広告代理店関係者の逮捕に踏み切ったことで広告業界に衝撃を与えました。
非常に難しい法律の、さらに間隙を縫うような話であったのでなかなか詳細が分かりにくい出来事ではなかったでしょうか。
今回は、そんなアフィリエイトの問題を可能な限り簡単に説明していきます。
アフィリエイト広告とは
クリック広告など様々な定義や種類がありますが、このページでは“製品の供給に関与していない個人が、自身の出す広告でその製品の魅力を伝達し、購入された時に報酬を得ること”をアフィリエイトと定義します。
アフィリエイト広告の特長
アフィリエイト広告が大きく取りざたされたので、アフィリエイト広告という言葉自体にも怖い印象を持たれた方もいるかもしれません。
ですが、アフィリエイト広告は次のような多くの長所を持つ広告手法であり、市場規模は年々増大を続けています。
POINT:1
広告主が思いつかないような新しいアイデア、消費者目線での広告がなされ、効率的な広告配信や需要喚起効果も期待できる。
POINT:2
初期費用が少なくてすむことから、広告に多額の初期投資をできない中小事業者やスタートアップ事業者が利用することができる。
POINT:3
参入障壁が小さいことから様々な商品等が紹介され、消費者にとって選択の幅が広がる。
なぜアフィリエイト広告が問題となったのか
問題となった背景としては、さまざまな要因がありますが端的に言えば行き過ぎた競争です。売上を上げるために誤った情報を配信するアフィリエイターがでてきてしまいました。
これが販売者であれば、景品表示法という規制があるのですぐに問題は露呈するのですが、景品表示法は製品の供給者に適用される法律ですので、アフィリエイターを規制することは難しい状況でした。化粧品等の世界では景品表示法と組み合わせて考えられることの多い薬機法においても66条の虚偽・誇大広告の規制は、商品で売上を得ている業者が対象です。
そのため放置されている間に、そこに商機を見つけてしまう企業も現れてしまい、アフィリエイト業界は本来あるべき形から逸れた広告が目につくようになってきました。
ここで行政は発想の転換を行います。具体的には、この広告を未承認医薬品の販売と定義することにしました。
例えば化粧品であれば決められた56の効能効果があり、これを逸脱することは許されません。詳しくはコラム「化粧品の規制について~入門編:薬機法と景品表示について~」に纏められていますのでよろしければご参照ください。
定められた効果を逸脱しているということは、販売されているのは化粧品ではない。かつ人体に大きな作用を謳っている。つまり未承認医薬品の販売である。というロジックです。
薬機法68条における未承認医薬品の販売は66条や景品表示法とは違い、いかなる人間も規制対象外となることはありません。
この発想自体は新しいものではありませんが、それを行政が明確に実行しアフィリエイトに切り込んでゆく姿勢を見せたということが様々な業界、ひいては世間に衝撃を与えた。ということが少し前のアフィリエイト広告問題の顛末です。
薬機法の限界
このように過去に行き過ぎた違反広告を取り締まったという事例があるものの、企業が積極的に関与していたという十分な証拠がなければ“積極的に関与していなかった”と言い逃れできてしまうという背景もあり、現在も消費者庁等で規制の適正化に向け審議が続けられています。
まとめ
繰り返しとなりますが、アフィリエイト広告自体は市場を活性化させる力をもった素晴らしい広告手法です。ですが、そのようなツールであっても使い方次第では誤った結果が生み出されてしまいます。
薬機法68条はいかなる人間も規制対象であり責任を免れません。アフィリエイトを広告手法として使う場合には、自社の製品がどのように広告されているか、十分に注意して管理をしていきましょう。