化粧品は今や百貨店やデパートをはじめスーパーやコンビニ、ドラッグストアにもおいてあり、
私たちは店頭やネット通販でさまざまな製品を手軽に買うことができます。
化粧品に囲まれている生活の中で
そもそも化粧品とはどんなものかを法律の面からお話したいと思います。
化粧品の法的な定義
化粧品といえばどんなものが浮かぶでしょうか。化粧水や美容液にクリームといったスキンケア、
マスカラやアイシャドウにファンデーションなどのメイクアップ…
入浴剤や歯みがきにシャンプー、リンス、ボディソープも立派な化粧品です。
化粧品は薬機法(=「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の略称)
という法律によって定義され、規制されています。
その中で化粧品は「化粧品とは人の身体を清潔にし、魅力を増し、容貌を変え、
又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布
その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされているもので、
人体に対する作用が緩和なものをいう。」と定義されています。長いですね。
ここでのキーワードは“緩和”という単語です。ざっくり要約すると
「塗る(あるいは他の使い方)ことで皮膚や髪を美しく導くが、その効能はあくまであいまいな内容
(例:肌を整える、毛髪につやを与えるなど)で謳われるものが化粧品」ということです。
これに対し「薬用化粧品」というものがあります。これは化粧品よりも明確な効能(例:美白、育毛など)をもち、
『医薬部外品』とも呼ばれます。医薬部外品についてはまた次回で。
必要な許可申請
さて、「化粧品とは」の定義の第1歩ができたところで、次は「つくる」「売る」ことについて進みます。
化粧品をつくること自体はとても簡単です。
「手づくり 化粧品」と検索すればつくり方がずらりと出てきます。
ところがそれを売るとなると話は別です。自分でつくって使う分には問題ありませんが、
化粧品を人に売るためには必ず許可が必要です。
必要な許可は2つあり、売るための「化粧品製造販売業許可」と、
つくるための「化粧品製造業許可」です。
それぞれの業許可は品質管理や安全管理、
設備など国の一定の基準をクリアしてはじめて許可されます。
では何のために2つの許可が必要なのでしょうか?
答えは製品の責任者をはっきりさせるためです。
化粧品のパッケージには『製造販売元A社』というように
先の「化粧品製造販売業許可」をもつ会社の情報が必ず表記されます。
これは法的にはA社が品質・安全性について製品の責任を担うということです。
製造からはじまり、販売後もその製品が市場に存在している間A社の責任は続きます。
一方、『発売元B社』がA社とならんで表記されていることもあります。
発売元B社には売る・つくるための業許可は必要ありませんが、
B社は製品に関するお客様からの直接のお問い合わせ窓口としての責任をもちます。
つくる役目をもつC社の情報はパッケージには書かれませんが製造の責任を担っています。
A社とB社が同じ会社の場合もあれば別々の場合もあり、
A~C社までひとつの会社でまかなうこともあります。
会社名の表記は消費者への宣伝広告になる一方で、
各社の責任がより明確になり消費者のための品質・安全性確保につながっています。
次回は化粧品に続いて「医薬部外品」についてお話いたします。